音楽情報Webマガジン「M3!」│ライブ・アーティスト情報満載

ピックアップアーティスト

PICKUP ARTIST

2019.01.01

「一音」で聴く者の魂を揺さぶる尺八演奏家【き乃はち】

 

アーティストインタビュー

 

き乃はち (KINOHACH)

WORLD、Traditional、ROCK        東京都根岸出身

 

人の声に近いといわれる尺八だからこそできる表現がある。

日本に脈々と伝わり「いまを生きる」楽器の音色を 先入観のないピュアな気持ちで聴いてほしい。

 

祖父が尺八奏者、父は音楽ディレクター、母は民謡歌手という芸能一家に生まれ育ちましたが、長男として後継のプレッシャーを受けつつ尺八奏者になった兄とは少し違い、私はあえて自分でこの道を選びました。もともとジャズが好きで、マイルス・デイヴィスの「この世界に不協和音はない」という考え方に影響を受けています。つまり、恐れずに何でもやっていいということです。

 

 

尺八は人間の声に周波数が近く、サスティン(音の伸び)のある楽器なので色々な表現ができます。今回のアルバムは、その可能性を追求した14年間の集大成。新しいことにも挑戦していますが、技術的にはむしろ昔にかえるよう意識しました。古典的なものを核にしなければ新しいものは作れないと思うからです。

 

 

オリジナルにはずっとこだわってきました。すべての曲は人とのご縁と支えによって生まれ、それぞれに思い入れがあり感謝しながら作っています。中学・高校でラグビーをやっていたのですが、応援曲と入場曲を作ることになったのは、じつはそれとは関係なく私の曲を気に入ってくれた方とのご縁がきっかけです。もちろんプレイヤー経験は、作曲や演奏にプラスになりました。また2015年に一緒に舞台に立たせていただいた、歌舞伎役者・十代目松本幸四郎さんとの出会いは大きな転機に。彼との出会いは今の私の「核」になっています。同世代ということもあり、お酒を酌み交わしながらお互いの立ち位置について語り合い、将来一緒に作品を作りたいね、なんて話もたくさんしています。

 

 

奉納演奏をさせていただく機会も多いのですが、私自身にとっても大切な活動のひとつです。神や仏の前で吹くと自分を省みることができ、通えば通うほど自分が見えてきます。神や仏が鏡の役割をしてくれるんですね。でも自分のフィルターを通さずに、ただ漫然と吹くだけでは神仏には届かない。尺八はかつて楽器ではなく虚無僧(こむそう)の法器として仏の声をもつ道具とされていました。尺八を吹くことで、神や仏からパワーをいただき、それを一般の人たちに伝えるという使命が私にはあると思っています。

 

 

日本ではあまり知られていませんが、いま世界中で尺八がブームを巻き起こしています。しかし残念なことに日本のプレイヤーが一番少ない。むしろ外国人の方がピュアに尺八を楽しんでいて、とくにドイツやフランスで盛り上がりをみせています。尺八=禅と捉える方が多く、その神秘的な雰囲気に惹かれるのでしょう。日本では、伝統楽器というと重く感じたり「おじいちゃんの楽器」というイメージを持つ方もいるようですが、尺八は今の時代を一緒に生きています。今後はそれを感じられるような曲も作っていくつもりです。

 

 

これから挑戦したいこと? 言うと逃げてしまいそうだから秘密にしたいけど(笑)…映画など映像を絡めたもので、音だけでは収まりきらない世界を表現してみたいですね。いつも自分なりの情景を思い描きながら演奏しているので、それを映像化したくて。それから、工房と協力しながら3Dプリンターで樹脂製の尺八の開発を進めています。民芸品としての尺八ではなく、楽器としての尺八。民芸品はひとつひとつ違う「作品」ですが、楽器として一般に普及させるためには「標準」を作る必要がある。安くて良いものができれば、尺八はもっと多くの人たちが普通に楽しめる楽器になると信じています。

 

(取材/花摘マリ)

 

 

★プロフィール

1971 年東京根岸生まれ。琴古流尺八にその名を残した初代佐藤錦水を祖父に持ち、4 歳より尺八をおもちゃ代わりに吹き始める。二十歳より三橋貴風に師事。共に国内外での舞台に多数参加。邦楽器と洋楽器を融合したロックバンド六三四~musashi~での活動を経て2003 年ソロデビュー。楽曲はNHK はじめ各局テレビ番組などに起用され好評を得る。舞台・歌舞伎・映画などの作曲活動、国内外での演奏活動に加え、ライフワークとして全国の寺社仏閣において奉納演奏を行っている。

真摯に伝統に学び、未来へバトンを繋ぐべく、国内外に向けて日本文化の魂を日々発信している。

 

★本人からのメッセージ

尺八という日本の伝統民族楽器を世界に知ってもらうべく、海外での公演、映画や舞台の

作曲活動などオリジナルの表現で発信して頑張っています。

みなさん是非応援してください。

 

 

ホームページURL:http://wabisabi-e.jp/

FACEBOOK URL:https://www.facebook.com/kinohachi

witter URL:https://twitter.com/kinohachi_staff

 

 

 

 

CD情報

 

タイトル:縁 ENISHI

発売元:株式会社ワビサビエンターテインメント

3000円(税込)